DVD版の画面の色は
本来意図されたものではない



 現在は東映アニメーション制作・ポニーキャニオン販売のDVDにより、幸いなことにドラゴンボールのTVシリーズは全話手軽に楽しむことができます。デジタルリマスターによる映像の修復を一つの売りにしており、確かに映像の解像感はいまだかつてないほどに高いです。しかし、本放送やその他再放送を見たことのあるファンの皆さんの中には画面にちょっとした違和感を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はこのDVD、画面の色がかなりあせているんです。何故そんなことが起きてしまったのか詳しく見ていきましょう。


 まず本放送など他のDBの放送を見ていない方には、画面の色について言葉で書きつづっても伝わり辛いかと思います。そこで、実際に比較してみましょう。ここではドラゴンボールZの話の中でも特に色の劣化の激しい第30話を例にいたします。




本放送から約3週間後のテレビ山口での初回放送の映像



空は青く、ベジータの顔色は普通の肌色で、戦闘服はきちんと白いです。


DVDの映像




空は緑がかった不自然な色になり、顔は赤らんでいて、白いはずの部分がピンク色と化しています。



並べて比べれば更に差は歴然です






※テレビ山口の録画映像は現地に在住のコッパ様よりご提供頂いたものです。
コッパ様のサイト「コッパの漫画・イラスト・プチストーリー」はこちら


 そもそも、何故個人で保有している当時のビデオテープの方が、企業で保管しているフィルム映像より色が綺麗なのでしょうか。おかしいと思う方もいらっしゃるかと思います。原因はフィルムという素材自体の性質にあります。実は、一般的に色の劣化はフィルムの方がビデオテープより早いのです。ビデオテープには磁気信号により映像が記録されるため、信号の劣化などにより画面がぶれたりしてしまうことはあっても、色が劇的に変化することは滅多にありません。普通ならば色の信号が大きく失われる以前にトラッキングが合わなくなり視聴できなくなるため、視聴可能な状態で色だけが大幅に変わることはまず無いです。それに対し、フィルムには一枚一枚の映像が物理的に焼き付けられているため、化学物質の変化により時が経つと共に色が変化していってしまいます。ポジフィルムの映像はたいてい劣化すると徐々に赤みを帯び、他の色は脱色していってしまいます。そうして著しく劣化した映像が今のドラゴンボールのDVDなのです。しかしながら冒頭で述べたとおり、DRAGON BOXの宣伝にはデジタルリマスターによる映像の修復が謳われています。何故色の問題は放置されたのでしょうか。

 フィルムは色の変化以外にも、上映したりテレシネ(ビデオ変換)したりする毎にキズやゴミが増えていきます。また、送り穴が劣化したりする為に映像が揺れるようになります。現在のドラゴンボールのDVDでは、それらの部分のみを修正しているのです。色は修正していません。何故なら、フィルム映像の色を大胆に弄るようになったのはごく最近の話だからです。
フィルムの色の劣化は決してそれぞれの色域(シアン・マゼンタなどそれぞれの色の範囲)ごとに均一ではなく、同じ色域であっても場所によって様々な変化が起きてしまいます。したがって、色を修正しようとするとマスクを切ったりして画面の場所ごとにレイヤー分けをするなど、気の遠くなる作業を要するのです。ドラゴンボールのDVDを出した当時の東映にはまだその技術がありませんでした。だから色の問題は放置されてしまったのです。以下にこれについて東映より得た回答を一部引用いたします。



作品マスターフィルムは経年劣化などにより、残念ながら変化しております。
弊社では、多くのマスターフィルムに対し、様々な種類の保管や修復作業を行
なっておりますが、全てのマスターを、均一規準で改変するには到っておりません。

ドラゴンボールのDVDシリーズは、DVD発売当時(2002年)のデジタ
ル技術で様々な補正を行なっております。
また、お客様にご指摘されている色彩の調整に関してですが、このDVDシリー
ズは、全508話の統一を図るため、経年劣化したフィルムの色調を劇的に補正
(改変)する方法は採用しておりません。




 しかし2008年には同じ東映作品の北斗の拳のHDリマスター版DVDが発売され、2009年には遂にHDリマスター版のドラゴンボールZである
ドラゴンボール改の放送が開始されました。近年よく見かけるそういった「HDリマスター」の場合は色の修正が行われます。ですので改では色がとても大胆に直されましたが、TV放送を意識してかセル画の色より近年のデジタル制作アニメを意識したような淡い色合いになっています。私管理人は今回の比較で使用したベジータ戦の色がどう変わったかに期待しましたが、何と空は緑色のままでした。HDリマスターをもってしても修正できないほどに30・31話の色が変化していた、TV放送に間に合わせるために手を抜いた修正をした、もしくは映像が元々緑だと勘違いした、などなど色々と推測できますが、これについては未だ明確な原因はわかりません。しかしながら、どうやら他の比較的劣化の著しい話でもやはりその劣化の跡が多少見受けられる為、これが現在のリマスター技術の限界なのかもしれません。つまりは今現在、良い色でベジータ戦などを見る為には本放送当時の録画ビデオを見るしか手段がないのです。ドラゴンボールZのHDリマスター版ブルーレイなりに期待したいところですが、改が放送されてしまっている手前恐らく当分発売されることはないでしょう。ただ、他のページで触れている音声の問題とは違い、これは素材の紛失ではなく劣化ですので、何れ技術的に解決し得る問題です。今はただ解決される日を待つしかないでしょう。


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